100 years’ tree

photo 矢野紀行(矢野写真事務所)

100 years’ tree
大分市誕生100年記念モニュメント
100 years’ tree

大分県大分市
設計:2013.01~2013.03
施工:2013.04~2013.06
記念塔
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
施工:佐伯建設
    熊本アイビー産業

大分市の市制100年を記念したモニュメントです。市民の誰もが共有でき理解できるような客観性を持った記念碑にしたいと考え、市の100年間の人口の推移をかたちにすることを試みました。人口が10万人であれば半径を1000mmの、45万人であれば半径4500mmのリングを100本(100年分)積み重ねることで、高さ10Mの立体をつくりだします。つまり、過去100年間大分市に居住した人は全てこのリングの大きさ・モニュメントの形状に関わっていることになります。

リングは、φ60.3mmのスチールの鋼管を曲げてつくります。この100本のリングは同径の12本の縦骨と結ばれることで、籠(かご)のような構造で均衡が保たれます。鋼管は亜鉛メッキの上に銀色の塗装を施すことで、晴れた日は青く光り、曇天の日はグレーを映し込み風景に消え入るように同化します。

10Mの高さは、まわりの広場の樹木と同じ高さです。「100年の樹」と名付けたのは、人口の推移(都市の成長)と樹木の成長を重ね合わせたためです。このかたちは、観る人の心持ちによって、トロフィーやグラス、花や聖火台などにも見え、それぞれがそれぞれの解釈で記念碑をとらえることができます。一方で、リングとリングとの隙間によって、モニュメント越しに向こう側の風景が見え、まわりの風景と同化するようなどこか映像的で存在感の希薄な、非モニュメント的なモニュメントとも言えます。