photo 竹内康訓
キンダ
KINDA
大分県三重町
1998.02~
1999.08完成
木造2階建て
89m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
施工:
建築:大工・伊藤浩二
<掲載誌・受賞>
住宅建築 2001.12号
九州の山深い谷間。その斜面に佇む集落の中にこの住宅は建っている。敷地は、集落へのアプローチにおいてエントランスとなるような印象的な場所にあり、前面の谷間には時間から取り残されたような水田と山間の風景が広がって見える。
この位置に建物が建つことで集落全体が生き生きと見え、日々この建物を目にする人を温かく迎えているかのような姿にできれば、ここでの生活が豊かなものになるのではないかと考えていた。
家族3人に必要なスペースとその敷地の大きさから2層のボリュームであることと、家族が集まるスペースに風景を取り込むために2階をリビングとすることは早い段階で確認できた。30mmx120mmの小幅板を300mmピッチでタテ使いに並べたファサードとその奥の半屋外の濡れ縁のようなスペースは、壁でも窓でもない柔らかな境界面をつくってくれる。当初は150mmピッチで並べることを予定していたが、建て主からもっと少なくても生活ができそうだと申し出があり、本数を半分にした300ピッチでつくられている。小幅板はその奥行きによってファサードの真正面に立たない限り室内は見えにくく、道路から敷地の地盤面が2M程上がっていることで実際には室内への視界が狭められている。そのため、竣工後3年目を迎えたが未だカーテンなどの目隠しは設けられないまま生活が続けられている。また夜間は、明かりを灯すと暗闇の中に部屋が浮かんでいるかのように見える。街灯などのない山間なので、この建物に灯りがともっていると集落の人々がホッとするということで留守の間も点けたままにしているという。