ロータリーパーク

photo 市川かおり

ロータリーパーク
Rotary park

大分県豊後高田市 
2004.11~
2005.03完成予定
公園
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:河野設備設計室

プロデュース:大分県デザイン協会
協働:(有)デザインマップ

施工:佐伯建設

人口2万人ほどの大分県北部の豊後高田市。その中心市街地にある商店街のエントラ ンスとなるロータリーに位置します。約30坪ほどの道路に囲まれた3角形状の敷地 を、町の顔として公園に整備しようという計画です。

車道が交差するロターリーということで見通しを確保したいというもあったのです が、昭和30、40年代頃の古い建物が軒を連ねる商店街の中で、空白地のように抜 けた場所にあって、更にここに構築物をつくってしまうと少々息苦しくなるように感じる場所でした。

 そこで、その「何も無いこと」が町のエントランスとなるような計画にしたいと考 えました。地上に現れる最低限のベンチと日除けの庇等が、公園であることを僅かに 感じさせる程度に留める。その上で、人が入ってくることでこの空間が補なわれてい くようなものになれば、公園よりも人が浮かび上がり、町のエントランスになるので はないかと考えました。

 地上に現れる要素が極端に少ない分、地表面の扱い方がテーマでした。敷地内の床 には、タイルが貼られた直径2M程のサークルがミニマム15㎝の隙間を空けて規則 的に配置されます。その隙間は10㎝ほど窪ませ、敷地内にあった地下水の泉源を利 用して水を張ります。タイルも円形で、いくつかの色が施されています。

 円形を使ったのは、敷地自体に方向性が見つけられないことや不規則な三角形をし ていることに起因しているのですが、ドットパターンの一部をたまたま敷地のライン で切り取ったと考えることもできます。例えば、モニター上で単色に塗り込められて 見えるものでも、倍率を変えればドットパターンの異なる色の集まりであったりする ように、この場所でしかあり得ないが、見方を変えれば別のものが見えてくる。その ことが、この場所が持っている「何も無いこと」を補ってくれるものと考えています。