Silent house

photo 矢野紀行 (Nacasa & Partners Inc.,)

Silent house

大分県佐伯市本匠
2008.04完成
別荘
型枠コンクリートブロック造
地上1階+ペントハウス
81.94m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
施工:住想・行野富男

大分市から車で1時間程の山間の集落に建つ小さな別荘。浴室・ラウンジ・寝室といった室内として使うスペースを、半屋外の回廊によってぐるっと取り囲む構成にしている。

 この回廊は、山間の厳しい気候とのバッファスペースとして、また、不在時にガラスや建具が破損した場合に直接室内が外部に曝されないようにするため、といった実利的な役割を担っている。そのような意味も含めて、外壁に直接建具が取り付いて屋内と屋外とが建具1枚で接するというよりは、少し奥行きを感じさせる建物がこの場所には相応しいのではないかと感じていた。同時にそれは、建具が外壁に取り付くことによって、この建物が一瞬にして外観から理解されてしまうのを避けようとするものでもあった。どこかミステリアスで何のための建物かが分からない方が、この静かな山間の環境に相応しいように思えた。

 遺跡のようなプリィミティブさや、いつからそこにあるのかわからないような佇まい、それらを実現するために、コンクリートブロックを選択した。ただブロックが積まれただけのプリミティブな構築物としてそこにあることが、まわりの環境の雰囲気とつながることになると考えた。