photo 矢野紀行 (矢野写真事務所)
竹田市立図書館
Taketa City Library
大分県竹田市
設計:2014.12~2016.01
施工:2016.05~2017.03
図書館
1550m2
施工:管組
設計:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:樅建築事務所
環境:ARUP
機械:エス・ケイ設計
電気:AES設計
家具:藤森泰司アトリエ
照明:岡安泉
サイン:高い山
防災:安宅防災設計
テキスタイル:安東陽子
外構:スタジオテラ
美術:関根直子
オレクトロニカ
城下をひらく
大分県竹田市は九州の中央、熊本県と接する人口2万人ほどのまちである。その中心は四方を山に囲まれた城下町で、かつての町割りや道幅など独特な雰囲気が残っている。しかしまちなかを歩く人は少なく、この状況を打開すべく市が進める*「城下町再生プロジェクト」の先鋒が図書館の建て替えである。計画では、城下の風景との親和性から切妻屋根と白壁を採用しながら「屋根の分節」、「屋根と壁の分離」をおこなった。そこに生じる隙間から、光や風、風景など城下の環境を立体的に建築に落とし込もうとした。建築内部は気積の大きなひとつながりの空間とし、それぞれの場所を性格付けているのが書架である。書架は水や風の流れのように緩やかに湾曲しながら館内を巡っている。その配置は、年中一定方向に流れる風の流れを建築に取り込むことから着想した。書架はその配置形状で来館者の動きを促し、様々に変化する高さで場所に応じた空間をもたらせている。明るく平原のような南開架、静かな森のような北開架、親密な洞窟のような2階開架など特性を持つ居場所をつくりだそうとした。城下ではこれ以上まちが広がることはなく、またまち割りや道幅、屋根と壁といった風景の要素も変わることはない。このかわらないという通底音がこのまちをたらしめている。その上でまち割りを横断し敷地を開き、屋根や壁を開いて城下の環境を引き込み、人の動きをうながす設えを施す。それは城下が持つ「変わらない秩序」から城下を開くことであり、ここから新たなまちが動き始めるそんな予感がしている。