天瀬町 ポケットパーク

photo 新建築社 井上登

天瀬町
ポケットパーク

Amagase pocket park

大分県天瀬町
1997完成
106.63m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
施工:トーケイ

大分大学佐藤誠治研究室との共働

<掲載誌・受賞>
新建築住宅特集「jt」1998.11号

天瀬(あまがせ)町は、九州の山間の古い温泉町である。 昭和40年代をピークに、客足は減少し、特に観光資源のない温泉街はその対応に苦慮しているのが現状である。 温泉街は、滔々と流れる川の両岸にびっしりとはりつくように形成されているため、通り沿いには観光客が足を休める場所もなく、またかつての河川の氾濫の影響から樹木等の緑に乏しい環境となっている。 そこで、公衆便所と飲泉場(温泉を飲むための施設)、豊かな緑を備えた小さな公園を、温泉街の環境整備支援事業の一環として計画することとなった。 敷地には、川に架かる吊り橋のたもと、100㎡程の小さな場所が選ばれた。 このまちの最大の財産は滔々と流れるこの川である。 そこで我々は、公園に立てばまるで川の中にいるような感覚に浸れる「川を感じる場所」をつくることを提案した。 具体的には、川のもつ質感や色を感じさせる素材による構成とし、側を流れる川との距離を感じさせないよう手すりや床版端部の処理に配慮した。 また、舗装の一部に水の流れを模した敷き瓦を施すことでよりストレートな表現をこころみた。 一方、各施設の形状や配置計画も、「流れ」や「水泡」をモチーフになされた。 夕刻から夜間にかけては、川を流れる灯籠のように光り出し、まちのランドマークとなっている。