バンケットホール

photo 市川かおり

Banquet hall

大分県大分市
2003.12~
バンケットホール
延床面積:835m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:河野設備設計室
照明:TLヤマギワ
家具:IDEE
施工:佐伯建設

80人程度のカジュアルなパーティーやウエディングを行うためのホールです。計 画地は、市街地を見下ろす丘の上に位置します。敷地内の40坪程の既存建物を厨房 や控え室・スタッフルームなどに充て、新築部分はホールのみとし、渡り廊下で両者 をつなげる計画としています。

ホールはウエディング時の80人分のテーブルとイスの配置寸法から、約10Mx23M の平面形状になります。この空間を、ひと部屋としての機能を損なわずに、ゲストに 退屈な印象を与えないようなものにしたいと考えました。

 一般的には、用途によって天井高さは決められます。また逆に天井高さから用途を ある程度類推することも可能かと思います。住宅には住宅の、オフィスにはオフィス の、体育館には体育館としての空間の高さがあります。この「天井高さ」を扱うこと で、平面的にはひとつの空間でありながら、いくつか性格の異なる空間が同時に在る ようなスペースができれば、空間に対して多様な印象を持てるのではないかと考えま した。

 そこで、2,350、2,800、3,325、3,925、4,640の5つの異なる天井高さを設けまし た。これらはホール全体の広がりが見通せるよう順番に配置します。この雛壇状の屋 根形状は、丘陵地としての地形と建物のボリュームとの関係を考える上でうまく馴染 んで見えました。アプローチ道路が建物の配置レベルより低いため、なるべくアプ ローチする際に建物が屹立して見えないよう、最も低い天井高さをアプローチ側に もってきています。

 異なる天井高さの隙間は、60㎝の厚みの屋根板が互いに離れながら浮いていて、 そのスリットから外光が入ってくるようになっています。構造の上でも、これら大き さの異なる5つの空間は分離したものとして計画しています。ひとつのユニットは4 つの柱で自立することで互いは構造的に接していません。

 外壁は、柱の外側に二次部材としての覆いのように取り付き、ホールから見えるま わりの風景を縁取り、外光を制御する簾のような役割です。暖色のグラデーションで 少し華やかな色彩を加えることでプレゼントのラッピングのように建物をくるんでい るような印象を持たせたいと思いました。