photo 矢野紀行 (Nacasa & Partners Inc.,)
青い家
Blue house
大分県佐伯市
2003.07~
2004.12月完成
専用住宅
延床面積:170.46m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:河野設備設計室
プロデュース:プロトハウス
施工:佐伯建設
地方都市の閑静な住宅地にたつ4人家族のための住宅である。 主に要望されたことは、庭を楽しめること、1階は全体がひと続きのパブリックなス ペース、2階は個室が集まったプライベートなスペースとしてつくりたいということ だった。
敷地や環境、クライアントの要望などの要件に一貫したものがあるわけではない。 建物を設計する上で、これらは独立したものとして無関係に現れてくる。 そこに全体としての新たな秩序を与え、ひとつの方向へまとめようとすると、そもそ も関連のないものの集まりであるためどこかの要件に無理が生じてしまう。 であれば、例えば、正方形のヴォリュームという建物をかたちづくる緩い枠組みを設 定し、その中で個々の要件が独自のルールで展開するというような組み立て方ができ れば、建物での体験を窮屈でない豊かなものにするのではないかと考えた。
この計画において、庭の取り方、各階の間取り、構造体、屋内外の仕上げ、ガレージ の大庇、屋上のランドリースペースなどは、個々に成り立ちのルールを持っている が、意図的に相互を関連づけまとめるということはしていない。 建物全体としては少々ちぐはぐな状態でも、これらがただ寄り集まっているという状 態をつくろうとした。
建物は、必要な床面積を総2階にまとめ、敷地の形状との間に生じる4つの大きさの 異なる隙間が、それぞれ個性を持った庭となるような配置とした。 1階は、2階の床を屋上階の梁から吊り下げ、外周で全体を支持することで、室内に 柱などの構造材が現れないようにした。 間仕切りや建具を床面から2.0Mまでに留めることで、そこから上の70㎝の空間 はひと続きである。 それにより、1階の床に付属するボックスとそれを覆う2階の空間を含んだボックス が、入れ子のような構成になっている。 また、小さな部屋が寄せ集まった2階の各個室には、それぞれ異なる色のカーペット を敷き詰めている。
青色のグラデーションの外壁は、個々の要件が独自のルールを展開するという組み立 て方をすることで、初めて選択できる。 建物をつくる上で、もう少し自由な選択が可能な組み立て方がないものか、考えたい と思っている。