photo 市川かおり
CICOU
CICOU life design
大分市
2003.05~
2003.09.28完成
インテリアショップ
既存ビルの内装
125m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
施工:藤田工務店
ショップのインテリアは、どんなに過剰にそしてその精度を上げてイメージを表現したとしても、街の中のショップのインテリアのひとつとして飲み込まれてしまう。そ の中からなんとか離れてイメージを突出させたいと思うベクトルが、更に濃密なデザ インの競争を加速させてしまう。一方、ショップに過剰なデザインやイメージが施さ れているのと同じ水準で、ショップの外の街路や道路、街のランドスケープ自体にも 何らかのストーリーに沿ったデザインが施されている。つまりショップの中も外もそ の精度に差はあれ、同じベクトルのステージに載っていることにかわりはない。そのような中で、 このショップだけは、そのステージを脇か ら見ているような、ステージ裏に入ってしまったような、ある意味息がつけ開放感の あるスペースにしたいと考えた。
インテリアの計画において、躯体の表面が境界面であり、そこからどれだけ手数を掛 けていくのかがインテリアデザインであるとすると、何かをつくり物事を取り決める以上全くデザイ ンしないということはあり得ない。とすると、その手数を減らすことがステージから 降りることに近づくひとつの方法だと考えられる。また一方で、躯体のままがデザイ ンしないことだとも思えない。その躯体に付着している情報もひとつデザインであ り、それを消すもしくは薄める手数をとる方が、デザインすることから離れることが できるように思う場合もある。
手数を減らすにはどうすればよいかと考えた時に、躯体を覆う壁や間仕切り、床材、 サッシなど、所謂内装工事の範疇にはいるものを、通常内装工事完成後に入ってくる 家具や商品のひとつとして、このインテリアの中で見せていくことで、躯体と家具の 中間にある内装工事的なものを保留にすることで可能になるのではないかと考えた。
具体的にはまず床面とFL+3Mレベル(商品の背景となる高さ)までの壁面に は、既存の躯体にセメントフィラーを施すことで、インテリアは完成と考えることにした。 次に、空間の領域を表現す るための垂れ壁やバックヤードの間仕切り、ディスプレイ棚、ファサードとなる見込 み 200mmのサッシなどは、躯体と縁を切った表現や躯体との接触面積を小さくするこ とで、取り替え可能なような表現にした。またそれら部品の色は躯体と同色の塗料も しくはグレーの錆止め塗料を施した。垂れ壁やラグハンガー、ファブリックハンガー など、躯体に取り付く部品は床面に接しないようし、できるだけ床面をフリーにする ことで既存の空間の自由さを損なわないようにしている。プランは、縦長の空間の奥 行き感と、拡がりを損ねないことを基本に、なるべく既存の水回りや倉庫を利用しな がら、同時に裏通りへと抜けるアクセスを新たに設けることで街区の新たな人の流れ をつくろうとした。