曇りの家

photo 矢野紀行(矢野写真事務所)

曇りの家
Cloudy house

大分県大分市
2011.12
専用住宅
木造2階建

設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
施工:住想

大分市の郊外、宅地と畑が入り混ざったエリアに建つ住宅。まわりに点在する畑や原っぱのような開かれた場をつくりだしたいと考えた。敷地を通り抜ける車路・建物を横断する吹きさらしのポーチ・塀の無い敷地境界などは、物理的に開かれた状態をつくりだしている。また、この建物を特徴付けてい切妻の屋根、屋根に彫り込まれたテラス、外観を覆うのっぺりとした質感などは、建物のモノとしての側面を浮かび上がらせる。住宅としてのプライヴェートな要素を抑えることで、意匠の上でも開かれた状態をつくりだそうとした。室内はその外観とは対照的に各部屋は光に満たされ、ポーチと切妻型の断面形状によって各部屋が複雑にかみ合った構成になっている。この室内の多様さもまた、体験の選択肢が豊富であるという意味で開いた状態をつくりだしている。建物が、その外観の色合いと質感によって曇天に消え入りそうになる時、開かれた場が最も浮かび上がる。