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豊後大野市関係人口交流拠点施設 cocomio
場所:大分県豊後大野市
設計:2021.04~2021.08
施工:2021.10~2022.03
旧緒方町歴史民俗資料館の改装
床面積:820m2(RC造)
施工:宮成工務店 千歳工業
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:白橋祐二
電気:AES設計
機械:エス・ケイ設計
まちを引き込む「みち」・活動を支える「ぶどう棚」
豊後大野市は、大分県南部の山間に位置し、中でも本施設の建つ緒方地区はかつての阿蘇山の噴火によってできた柱状節理が長い年月を経て削られて残った「原(はる)」とよばれる台地に位置する。一帯は、主に耕作地として利用され、耕作のための水を引く「井路」が張り巡らされている。まちはその井路に並走する「水車通り」に沿って築かれきた。「道(みち)」はかつては商いや子供の遊び場など機能が重なる公共空間であった。その「みち」を施設に引き込み、みちを介してそれぞれのプログラムがつながったり分節されたり、活動の起点となることを考えた。
施設は、築40年・RC造平屋建ての歴史民俗資料館(建築家・辻隆氏(故人)設計)を、コワーキングスペース・サテライトオフィス・ゲストハウス・カフェといったいくつかのプログラムが複合して相乗効果を図るようにした。資料館ということで、壁に囲まれた閉鎖的な建物であったため耐震性は高く、敷地を囲む2つの道路をつなげるように長手(東西)方向に「みち」を引き込むための開口を、また直行する南北方向にも周囲の田園風景を見通せる開口を、比較的自由に設けることができた。
建物の中央を走る巾約4Mの「みち」の上には、劇場の舞台上に設ける作業のための「ぶどう棚」のごとく、木製の格子梁を掛け渡した。「ぶどう棚」は、パーティションを建て込んで空間を仕切ったり、展示物等を吊り下げたり、床を敷き込んでロフトを設けるなど、状況に応じて変化する空間を支えながら建物全体に統一性をもたらせている。