クサバアパートメント2

501号

503号

306号

photo 矢野紀行(矢野写真事務所)

クサバアパートメント2
Kusaba apartment 2

大分県大分市
2012.03完成
室内改装

設計監理:塩塚隆生アトリエ
施工:大分メンテナンス

奥行きをつくる

RC造5階建て、同じ間取りの3DKが30戸入るアパートの改装です。5年前の「クサバアパートメント」の続きで、このアパートでは退去で空いた住戸を順次改装をして、長期的にアパート全体をリノベーションしていこうとしています。また、その時々に合わせて異なるコンセプトで改装することで、同じ間取りでありながらバリエーションのある全体をつくろうとしています。今回の計画対象は5戸で、既存の間取り・仕上げをなるべくそのままにしながら、細かく区切られた各室が相互に新たな関係性をつくりだすことをテーマにしました。
   まず、隣接する各室が必ず異なる色を持つように、白・グレー・チャコールグレー・シルバーの4色を各室の既存の仕上げ(モルタル・砂壁・プラスターボード・プリント合板・タイルなど)の状態を見極めながら配していきます。床のビニルシート、壁の塗装・ビニルクロスがそれぞれ全く同じ色になるように素材を選んでいます。次に、室を間仕切る建具を取り外しその木製枠の内側(壁の開口小口面)のみ木肌を現します。木肌は薄く白色に染色します。室と室とがつながる部分を意識させることで、室相互の違い・切り替わりを生活のシーンに織り込んでいこうとしました。天井の仕上げと押入れのランマの建具は取り除きました。天井高さが低く・各室6畳程度の大きさのため、なるべく部屋を物理的に広げようとしました。天井は既存のコンクリートスラブと梁をそのまま現しています。く体と仕上げの関係が見て取れるようにすることで、空間の上でも居住者の意識の上でも、表面の表現に加え「奥行き」を感じられるようにしました。それは室の向こうに室がありまたその向こうに室があるといった、住戸全体の奥行き感にもつながっています。