photo 新建築社 大沢誠一
photo 金子俊男
国見町生涯学習センター
みんなんかん
Kunimi cultural factory Minnankan
大分県国東市国見町
2000.11完成
RC一部PCa造
2,700m2
設計監理:
構造:大賀成典
機械:河野設備設計室
電気:矢野設備設計
照明:TLヤマギワ
音響:四元音響設計
積算:福積
家具:IDEE
施工:
建築:菅組
機械:南設備工業
電気:土谷電気
<掲載誌・受賞>
日本照明学会 平成12年
照明普及賞:優秀施設賞
日本産業デザイン振興会:
2001年グッドデザイン賞
新建築2001.01号
「JA」44 WINTER,2002
「2001建築年鑑」
国見町は大分県の北部、国東半島に位置する人口6400人ほどの町である。老朽化した中央公民館に替わり、多目的ホールと公民館が併設された生涯学習のための施設が求められ、指名コンペによりわれわれの案が選出された。役場に隣接した敷地は、町内唯一の中学校と高校が見渡せる田園風景の中にある。計画においては、まわりの施設との公共ゾーンを形成しながら、単にホール、学習室といった従来的な機能を越えて、施設全体がカジュアルにそして様々な可能性をもって利用されることを実現しようとした。その敷地の大きさと施設規模から、建物は2層分のヴォリュームを必要とした。しかしながら町民利用主体のデイリーユースなセンターとして、グランドフロアの地続きとなるアクセスの気軽さや建物内外を取り込んだ施設利用のフレキシビリティを2層目のフロアで損ないたくなかった。つまり2層目のスラブは、地盤面と同じ性格をもつ所謂建築のスラブとは少し異なる人工地盤のようなもの、例えば橋や道路などの土木構造物のその公共性、気安さが必要に思えた。そこで、グランドレベルからできるだけ近い位置にレベル差のないひとつづきのスラブを設定し、建築と土木構造物の中間的な性格をもつような少々オーバースケールなテラスを設けた。スラブ上では、施設内外の床仕上げを共通にすること、大型の引戸によって内外のレベル差をなくすこと、各室が必ずテラスに面すること、通り抜けのできるテラスにすることなどでグランドフロアがもつポテンシャルをキープしようとした。 建物の在り方もまた土木構造物のごとく、地盤面に投げ出されたように無造作に置かれる。外構は造り込まず、アスファルトが建物近くまで敷き込まれ、段差は一切なく車や自転車が乗り入れてくる。その姿は、用途上必要なヴォリュームによってたち現れ、輪郭をくっきりと出すこと、風景が建物の中を抜けること、ガラスのコントラストで賑やかなファサードにすることなど、見通しのきく田園風景の中で人々の意識に残るチャーミングな表情をもたせたいと考えた。