photo 矢野紀行(矢野紀行写真事務所)
大分市坂ノ市市民センター
Sakanoichi citizens’ center
大分県大分市
2009.12~
2011.08外構完成予定
鉄骨造3階建2448.20m2
市役所支所
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:河野設備設計室
施工:建築:ナカノス建設
電気:大和電業社
設備:但馬設備工業
秩序としての自然 実在としての自然
大分市役所の支所、その建て替え計画である。支所機能と保健、子育て支援機能などを複合した建物である。敷地は、中心市街地から車で30分ほどの郊外で、周囲は近年区画整理が行われた住宅地が広がっている。建物は2層で、北側に設けた吹き抜けのホールとホールに面した2階のギャラリーが全体をかたちづくっている。東西に細長いこれらのスペースを歩いて巡れるように両端の階段でつなげ、どの部屋もホールもしくはギャラリーに面する計画とした。ギャラリーの上部はペントハウスとして立ち上げ、採光や自然換気のための機能を担っている。緩やかに折れ曲がる壁面は、各室の面積と室相互のつながりを調整しながら、ホールやギャラリーにたまりのスペースをつくりだすその過程で生じた。またファサードに面した斜めの柱は、柱の配置を自由にする上で理にかなっていた。
利用者の体験の選択肢を増やす上で、多様さを計画に織り込みたいと考えた。そこで「秩序としての自然」を内包した建築をつくろうとした。多様で複雑な自然が、ある秩序によって成り立っているように、壁を折れ曲げること・柱を斜めにすることといった限定したルールを持ち込み、それを局所局所で展開することで一様でない空間をつくりだそうとした。これらは、前述した計画の与件を解決し建築を組み立てていく上でも有効であった。一方で「実在としての自然」は、建築を司る圧倒的な存在である。その上で、秩序としての自然(虚の自然)を考えることは、人の営みを支えるために「実の自然」との補完関係をつくりだすことだと考えている。