たがわこどもセンター『まいまい』

photo 矢野紀行(矢野写真事務所)

たがわこどもセンター『まいまい』
Tagawa child center “Maimai”

福岡県田川市
設計:2012.08~2013.03
施工:2013.04~2014.03
幼稚園・保育所・子育て支援センター
2,300㎡
設計:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:設備総合計画
監理:田川市建築住宅課

多様な環境を巻き込み包み込むうずまきの空間

福岡県田川市における市立の幼稚園・保育所・子育て支援センターを併設した施設である。田川市は福岡県の北東部に位置する人口約5万人のまちで、かつては炭坑のまちとして栄えた。高齢化・少子化が進む中で、2つの幼稚園と1つの保育所、子育て支援センターを集約することで市の子育ての拠点、こどもセンターを整備することとなった。

 建物は、市が掲げる施設理念「同一の中の多様」を実現するために、園庭を囲い込むように3つの施設機能を連ねたうずまき状の施設配置とした。うずまきは開かれながらも守られたかたちをしていて、これからの保育環境に適しているのではないかと考え、多様な機能、子供たち・大人たちの様々な活動が重なり合う施設イメージを提示した。 また、敷地が運動公園の駐車場と芝生広場を含めた広い範囲であったことから、平屋建てとし敷地全体にわたって施設が配置されるようにした。駐車場と芝生広場の2Mほどの高低差はスロープによってつなげ、3つの施設機能がひとつながりになるようにした。

 うずまき状の配置は、囲まれた安全な園庭をつくりだすと同時に、全ての保育室が南面する配置をつくりだしている。施設が細長いことで、各室は必ず2面が屋外に面した開口をもつことになり、施設全体に明るさと開放感をもたらす。また、うずまきの内側に向けて屋根を傾斜させることで、園庭側の親密なスケールと外側へ開いていくような開放感をもった保育室をつくりだしている。

 このうずまき状の配置は、全体をつなげることも、どこかで区切ることもでき、将来の保育環境の変化にも柔軟に対応することができるものと考えている。