鶴川商店街周辺拠点施設

photo YASHIRO PHOTO OFFICE *塩塚隆生アトリエ

鶴川商店街周辺拠点施設 

場所:大分県国東市
設計監理: 塩塚隆生アトリエ+下村正樹建築設計事務所
構造:CS棟 木村洋介  TW棟 白橋祐二
電気:AES設計
機械:エス・ケイ設計
施工:菅組



国東市は、神仏習合の地として歴史や文化の影響が残る国東半島の東部に位置する。また、瀬戸内海に面した瀬戸内気候で、大分空港を有する玄関口でもある。鶴川地区は、敷地の正面に位置する櫻八幡神社を中心に商店街として栄えたが、近年の衰退に対しこれからのまちのあり方を模索する事業を進めていた。拠点施設は、その実践となるプロジェクトである。敷地は里道をはさんで、新築するチャレンジショップ(CS)棟と、地区120年のかつての診療所である古民家を改装したテレワーク(TW)棟の2区画に分かれ、その間を屋根付きの歩廊でつなげている。配置は歩廊を参道に見立て、神社の配置を参照することで地域との親和性を持たせた。CS棟は、2,730×2,730をモデュールとした格子状の空間で、出店の規模に合わせて1~5区画に変更できるようガラスの引き戸で仕切られている。上部の欄間部分は開放し、区画をしても一体感を損なわないようにした。TW棟は、1階の床組を撤去し、構造補強を兼ねて土間コンクリート仕上げに変更。それによって生じる縁側など既存の床とのレベル差が、腰掛になったりスペースの使い方を誘発したり、新たな活動のきかっけとなっている。また、2階の天井仕上げを撤去し小屋組みを現しにすることで、吹き抜けを介して空気の循環や光の伝搬など,120年を経て建物全体が呼吸をしはじめた。また、敷地内の広大な庭も樹木を整理し、歩いて巡れることで屋外での活動も想定できる計画とした。一方で、105幅の杉材によるプレカットと現代的な金物によって構成されるCS棟。太く荒々しい丸太や角材の原初的なTW棟の木組(きぐみ)。これら、現在と120年前、それぞれの技術のせめぎ合いを体験できる、地域の歴史を横断する建築でもある。