photo 矢野紀行 (Nacasa & Partners Inc.,)
White cave
設計:2006.03-08
施工:2006.09-2007.02
専用住宅
RC造1階建
132.60m2
設計監理:
意匠:塩塚隆生アトリエ
構造:大賀成典
設備:河野設備設計室
施工:豊國建設
市街地を見下ろす高台に建つ住宅。計画地は開発時に残された不整形な形状で、敷地内に2mの高低差がある。北側は高低差のある複数の隣地と接し、西から南側にかけては里道を挟んで古墳公園を囲む樹木が迫り、東側は市街地への眺望が開かれている。
敷地に併走する里道を歩くと、風景が移り変わっていく様が魅力的だった。建物を里道に併走させ、敷地内の2Mの高低差を横断し配置することで、その魅力を室内に持ち込もうとした。各室の配置は里道に沿うことで決まっていった。
敷地周辺の複雑なコンテクストや不整形な敷地形状、この多様さを建物にも持たせたいと考えていた。プランを長手方向に対して2,700mm間隔で300mmずつ短辺方向に振幅させる。ひとつの操作で全体に混乱を与えない程度に乱れを起こさせようとした。少し壁の角度が変わることで、人の動き方、空間の印象が変わる。風景の見え方、外部との距離・光の入り方等まわりの環境との関係までが一気に複雑になった。
外壁・屋根を粗いコンクリートの仕上げのままとし、開口部は塊を刳り貫いたようにコンクリートの厚みが見える表現にしている。周囲のコンクリートのヨウ壁や古墳公園の静けさ、鬱蒼とした樹木など、この場所の特性を建物に連続させたいと考えた。 ヴォリュームの僅かな振幅によって、コンクリートといった硬く静的なものが、生活の場として環境に応答する姿を考えた。